ISO15189
皆さんISO15189のことをご存じでしょうか?
おそらく多くの方はご存知無いと思います。
検査技師を目指す方、そして現在検査技師の方は今後必須の知識になります。
ISOとは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、ISOが制定した規格をISO規格といいます。
このISO規格には様々なものが存在します。
身近な例として、非常口のマーク(ISO 7010)やカードのサイズ(ISO/IEC 7810)、ネジ(ISO 68)といったISO規格が挙げられます。これらは製品そのものを対象とする、「モノ規格」です。
ISO15189 とは、臨床検査室の品質と能力に関する特定要求事項に関する国際規格を表す番号になります。
ではなぜ現在、この規格が重要になるのか?
これにはいくつか理由があります。
- 2016年度より、国際規格の認定を受けた検査室をもつ医療施設は、入院患者において実施する臨床検査に関して「国際標準検査管理加算 40点」が保険点数として認められた。
- 病院の評価向上につながる。
- 2017年度に医療法が改訂され、検査に関する精度管理について明確化された。
この法改正ですが、厳密に全ての施設に当てはめた場合、おそらくほとんどの施設で検査を行う事が出来なくなります。もちろんそれでは困るので、一部は今後の課題となっていますが、いずれにしてもいずれISO15189と同レベルの精度管理基準が当たり前になっていくと思われます。
私自身、この規格に関する資料の作成に携わり、実際にISOを適応した環境下で業務も行いました。もちろん利点はあります。しかし検査技師にとっては、業務が増えるという観点からデメリットの方が大きいと感じるかもしれないです。
ISO 15189認定取得のメリットとしては、
● 臨床検査室の役割とその信頼性の向上
● 共通の組織目標
● 責任の明確化
● 医療安全への貢献
が挙げられると思います。
そしてデメリットには
● 資料作成に膨大の時間、人力が必要になる
● システムの改善、必要物品の購入に多くのお金が必要になる
● 品質管理者の指示が不明確な場合、資料の修正が繰り返し必要になる
● 精度管理業務に多くの時間が割かれる
などが挙げられます。
ISOの文書は機密文書のため、作成時には0からの作成が必要になること。
検査項目、検査機器は多岐に渡るため、数百種類の資料が必要になること。
これらの理由から、これから作成する施設は本当に大変だと思います。
コツとしては最初はある程度『緩く』作成しておくことです。
文書のクオリティを下げることはできません!
最初からガチガチに型にはめてしまうと、とても働きづらい環境になってしまいます。
なので、指摘されたら直せばいいくらいに思って作成することをオススメします!
今日は臨床検査の国際規格に関するお話でした。
ありがとうございます。拝